2019年度の事業と業績
事業と業績サマリー
グローバルキャッシュマネジメントによるリスク対応
テイ・エス テックグループは、グローバル(世界14カ国、79拠点)に事業を展開しており、お客さまの生産活動に影響を及ぼさないことを前提に、各地域・国・拠点におけるリスクを考慮した「安全資金ガイドライン」を制定し、常に保有しておくべき資金や、有事に備えいつでも機動的に調達可能な資金管理体制を構築してきました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による各国政府主導の操業制限などに伴い、当グループの生産工場も中国を皮切りに、米州やアジア・欧州地域において稼働停止が発生しましたが、グループ全体に適用している「安全資金ガイドライン」に基づく手元資金での対応ができており、現時点で資金繰りに問題が生じている拠点はありません。当グループの高い収益性を背景とした健全な財務基盤(2020年3月期 有利子負債比率 0.03%)をベースに、事業の継続性・財務の安定性を最優先に取り組んできた結果だと考えています。
第14次中期経営計画の取り組み
第13次中期経営計画は「事業成長を支える財務戦略」を掲げ、金軸から会社のさらなる成長への基盤固めに取り組んできました。「安全資金」に加え「株主還元」「戦略投資への資金活用」の3つのバランスを重視した施策に取り組んできた結果、資本や資産効率などの多くの指標は業界水準を上回り、特に安全性を示す指標については高く、健全で盤石な事業体質となりました。
しかしながら、事業環境の変化が急速に進む中、当グループが今後も継続して成長していくためには、毎年の営業活動から得られるキャッシュに加え、過去より積み上げられた資金を、有効かつ効率的に活用することが課題となります。第14次中期経営計画においては、これまで以上に資本・資産の効率性指標を重視しながら企業価値の向上を図っていきます。
当グループが主要顧客におけるシェア拡大や新規顧客、新商権の獲得に取り組む中で、生産能力の拡大や新規拠点の立上げはもとより、新たな価値を創り出す先進技術開発やコスト競争力強化など、M&Aも視野に戦略的な投資計画を策定しています。
健全な財務基盤を維持した上で、これらの投資を積極的に推進することで、中長期的な視点で資本・資産効率の向上と持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。
2019年度 地域別実績
日本
当期は、ホンダ新型N-WGNや新型FIT用シートなどの生産を開始しました。
新型コロナウイルス感染症影響について、2020年3月末時点で工場の稼働停止などは発生しておらず、当期のセグメント業績への影響は軽微です。
米州
当期は、工程ごとの品質保証能力強化による品質コスト抑制に取り組み、高収益体質の構築に努めました。
新型コロナウイルス感染症影響について、2020年3月下旬より一部の工場を除き稼働を停止したため、当期のセグメント業績に影響が生じています。
中国
当期は、武漢地区でホンダ新型ENVIX用シート、広州地区でホンダ新型BREEZE用シートなどの生産を開始しました。
新型コロナウイルス感染症影響について、春節(2020年1月23日)から3月中旬まで工場が稼働を停止したため、当期のセグメント業績に影響が生じています。
アジア・欧州
当期は、タイでホンダ新型ACCORDや新型CITY用シートなどの生産を開始しました。
新型コロナウイルス感染症影響について、2020年3月下旬より一部の工場を除き稼働を停止しましたが、当期のセグメント業績への影響は軽微です。
財務・非財務ハイライト
5年間業績サマリー
2015年度 (IFRS) |
2016年度 (IFRS) |
2017年度 (IFRS) |
2018年度 (IFRS) |
2019年度 (IFRS) |
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連結会計年度 | |||||
売上収益 | 458,732 | 425,794 | 479,490 | 412,072 | 359,682 |
売上原価 | 381,258 | 355,176 | 399,329 | 338,031 | 300,307 |
販売費及び一般管理費 | 39,414 | 35,755 | 37,418 | 36,521 | 33,531 |
営業利益 | 39,279 | 34,557 | 47,346 | 38,793 | 26,326 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 23,528 | 19,622 | 30,115 | 25,750 | 15,064 |
減価償却費 | 9,313 | 9,036 | 9,676 | 9,778 | 10,225 |
会計年度末 | |||||
資産合計 | 303,948 | 322,202 | 351,944 | 358,265 | 341,820 |
有利子負債 | 4,335 | 3,506 | 4,182 | 1,742 | 4,014 |
資本合計 | 219,092 | 230,989 | 259,924 | 277,424 | 274,552 |
株主資本 | 189,497 | 204,800 | 229,866 | 249,904 | 259,233 |
連結セグメント別売上収益 | |||||
日本 | 92,071 | 91,830 | 93,552 | 92,856 | 75,134 |
米州 | 247,087 | 213,008 | 224,867 | 195,604 | 176,346 |
中国 | 96,513 | 94,990 | 121,266 | 89,187 | 82,729 |
アジア・欧州 | 59,257 | 59,825 | 76,041 | 66,822 | 51,967 |
海外売上収益 | 395,571 | 361,980 | 412,249 | 342,496 | 303,544 |
海外売上収益比率(%) | 86.2 | 85.0 | 86.0 | 83.1 | 84.4 |
財務ハイライト
売上収益・海外売上収益比率(連結)
世界14カ国で事業を展開し、海外売上収益比率は8割を超えています。
営業利益・利益率(連結)
徹底した収益体質強化に努めており、従来より同業他社と比べ高い営業利益率を維持しています。
研究開発費/売上収益研究開発費比率(連結)
減収時においても、次世代技術開発など新たな価値創造につながる研究開発には惜しまず経営資源を投入しています。
設備投資・償却費(連結)
2015年度までに行った能力拡充投資による工場や設備を活かしつつ、将来の成長に向けた自動化などに力を入れています。
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)・資産合計税引前利益率(ROA)(連結)
投下資本の効率的な運用に努め、さらなる収益性の向上を目指します。
年間配当・配当性向(連結)
企業価値向上に努めながら、連結業績や配当性向などを総合的に勘案し、安定的に配当を継続しています。
非財務ハイライト
エネルギー投入量(連結)
エネルギーマネジメントシステムISO50001取得など、全世界で積極的な省エネルギー活動に取り組んでいます。
CO2排出原単位・排出量(連結)
製品の開発から生産に至る各工程において、CO2排出量のさらなる削減および適切な管理に取り組んでいます。
研修関連費用(単体)
「人材重視」の企業理念の下、社員の成長を促す機会・環境づくりへ積極的に取り組んでいます。
有給休暇取得率(単体)
長年にわたり有給休暇取得促進に労使一体となり取り組んでおり、従来より高い有給休暇取得率を維持しています。
保有特許件数(連結)
競争力の根源となる「技術」をより多く創出するとともに、適切な管理により知財価値の最大化と損失の最小化に取り組んでいます。
反競争的な慣行に関する罰金・制裁金(連結)
0件
2019年度、当社グループでは、罰金や制裁措置を受けた重大なコンプライアンス違反は発生していません。
汚職・贈収賄として認めた案件(連結)
0件
2019年度、当社グループでは、汚職・贈収賄として認めた案件は発生していません。