サプライチェーンへの取り組み
サプライチェーンマネジメントに対する方針
社会と共生し、存在を期待され「喜ばれる企業」となるためには、事業による利益の追求のみならず、ESG観点での経営が必要となります。
当グループでは「TSフィロソフィー」に基づき、環境、安全、人権、コンプライアンス、社会的責任などに配慮した取り組みを、自社のみならず、サプライチェーン全体で推進することで、サステナブルな社会の実現を目指しています。
カテゴリー | 内容 |
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① 安全・品質 |
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② 人権・労働 |
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③ 環境 |
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④ 責任ある鉱物調達 |
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⑤ コンプライアンス |
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⑥ 情報開示 |
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「TS TECH サプライヤーサステナビリティガイドライン」の運用
当グループでは、サステナビリティに対する考え方をお取引先と共有し、共に推進していくために「TS TECH サプライヤーサステナビリティガイドライン」を制定しています。「安全・品質」「人権・労働」「環境」「責任ある鉱物調達」「コンプライアンス」「情報開示」の6つの分野で要求事項を規定し、全てのお取引先にガイドラインの遵守を要請しています。2023年8月には社会的変化に対応するため、主に「人権・労働」「環境」の2つの分野を深化させる改訂をしました。
このガイドラインは、当社のWebサイト上で掲載するとともに、国内外全てのお取引先と共有しています。また、お取引先を対象に、調査票を用いた遵守状況の確認を行っており、2024年3月期は国内外含め628社に調査を実施しました。当グループは本取り組みをマテリアリティ(重要課題)の一つとして認識しており、毎年継続して実施するとともに、遵守率が低いお取引先に対しては状況確認をするなど、持続可能なサプライチェーンの構築に努めています。
調達に関する基本的な考え方
当グループの製品は、お取引先の皆さまから提供される多種多様な材料・部品から成り立っています。製品をお客さまへ競争力のある価格・品質で安定的に供給していく上では、お取引先との強固なパートナーシップが必要不可欠です。
当グループでは、公正、公平な取引を実現し、お取引先とwin-winの関係をグローバルに構築・維持するために「TS調達4原則」を制定するとともに、「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。これらを実践することで、全てのステークホルダーから信頼されるサプライチェーンの構築を目指しています。
- 原則1 公正取引
- 当社はお取引先選定に当たり、国籍・企業規模・取引実績等に係わることなく、広く公正な取引参入の機会を提供し、品質・技術・価格・納期等の優位性や合理性、並びに経営安定化努力等を総合的に勘案し、お取引先を公正に選定致します。
- 原則2 取引実務
- 当社はお取引先と開発・価格低減等の課題を共有し、同じ視点で目標を掲げ、成果獲得に向けて共に邁進致します。得られた成果については相互互恵関係を最大限に尊重し、その基盤となる相互の信頼関係が更に揺るぎ無いものとなるよう努力します。
- 原則3 環境対応
- 当社は企業活動について地球環境の保全に常に最大限の配慮を払います。購買活動についても同様の目的の為、環境影響へ配慮したものを率先して調達するグリーン購買を目指します。
- 原則4 遵法・機密保持
- 当社はコンプライアンス理念を尊重し、社会規範・関連法規を遵守徹底すると同時に、お取引先より知り得た各種情報等についても厳格な管理の下、遺漏防止等に努めます。
サプライチェーンマネジメントに対するその他の主要な取り組み
お取引先懇談会
お取引先とは、購買戦略・施策などに関し情報共有の場を常に設け、円滑なコミュニケーションを図っています。主要なお取引先に対しては、中期経営計画や運営方針の説明、情報交換を目的としたお取引先懇談会を実施しています。
また、年間を通じ原価・開発・品質の面で優秀な活動実績を残したお取引先を表彰する場を設けており、2024年3月期からは環境活動の促進を図るため、サステナビリティ賞を新設しました。お取引先との連携を強固なものとし、第15次中期経営計画を推進していくべく、各社との結束力を強めました。
サプライチェーンリスク管理
調達リスクへの対策として、自然災害、火災、お取引先の財務課題など、生産に影響を与えるあらゆる事象の未然防止に向けた取り組みを行っています。サプライチェーンの上流から下流までの情報を可視化した上で、お取引先が一社に集中している調達部品などを「高リスク部品」と位置付け、自然災害などの有事に備える取り組みや代替調達先の確保などを、お取引先と連携しながら実施しています。また、リスクを最小化するための取り組みとして、商流や階層が複雑化したサプライチェーンの集約・スリム化を図っています。
特に生産保全の観点で重要なお取引先に対しては、リスク対策情報などを書面やヒアリングにより確認し、課題を有する場合は改善活動を共同で行うことで、リスク管理体制を強化し、事業の継続性を高めています。
お取引先評価
高品質な製品を継続的にお客さまに供給するために、お取引先の評価を1年に1回実施しています。お取引先ごとにQCDDM(品質:Quality、コスト:Cost、納品:Delivery、開発:Development、経営:Management)とESGの観点でその総合力を評価し、要改善となったお取引先については、当グループの各部門が連携し、総合力向上に向けたサポート活動を実施しています。
環境活動の推進
サプライチェーンを含む当グループの事業活動におけるCO2排出量の89.6%※は、Scope3 カテゴリ1「購入した製品・サービス」からの排出であり、お取引先各社での排出量削減が重要であると捉えています。2023年4月からは国内のみならず世界中のお取引先に対してCO2排出量の削減目標を提示し、サプライチェーン全体での排出量削減を推進しています。また、より専門的な知見を取り入れ、実効性を高めていくため、外部講師を招いた「カーボンニュートラルセミナー」をオンライン開催し、効果的な排出量削減プロセスをお取引先へ展開しました。こうして一方的に削減要請をするのではなく、お取引先と一体となってサプライチェーン全体でのCO2排出量削減に取り組んでいきます。
- 2024年3月期の当グループCO2総排出量に占める割合
また、各国・各地域の法令で禁止された化学物質を含有しないよう構成部品単位で調査を実施しています。お取引先内での製造工程においても法令で禁止された化学物質の使用は認めず、加えて法令で指定された特定化学物質に関しては排出量を把握し、問題があれば行政へ報告するルールを定めています。
紛争鉱物調査
当グループは、武装勢力や人権侵害となる事象への資金流出の防止を目的に、紛争鉱物※の不使用を基本方針として、調達活動に取り組んでいます。その一環として、アメリカの金融規制改革法(ドッド・フランク法)で指定されたコンゴ民主共和国および周辺工区で採掘された紛争鉱物が製品に使用されていないか調査・確認を実施しています。また、近年は社会的な人権侵害リスクの高まりを踏まえ、コバルトについても調査を拡大しています。
当調査では鉱物の原産地調査を実施し、懸念のある鉱物であることが判明した場合は、お取引先と連携し、適切な措置を講じています。
- スズ・タンタル・タングステン・金の4種の鉱物
独占禁止法の遵守・汚職防止
当社では、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」および「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の考え方や留意点を整理した、独自の「独禁法・下請法コンプライアンスマニュアル」を作成し、運用しています。関係部門は、独占禁止法および下請法を正確に理解し、個別事象の適法性を十分に吟味する上で、当マニュアルを活用し日常業務を推進しています。
当マニュアルだけで判断できない事象については、関係部門が法務部門と連携し、必要に応じて弁護士に相談できる体制を構築しています。また、社員のコンプライアンス意識を醸成するために、階層別研修プログラムに沿い、独占禁止法および下請法に関する教育を実施しています。
また、2016年3月に、当グループのガイドラインとして「贈収賄防止ガイドライン」「カルテル防止ガイドライン」をそれぞれ制定し、グループ全体でより公正かつ健全な取引体制の構築に努めています。
持続的な社会の実現を目指し、ステークホルダーの期待に応えていく
テイ・エステックさまとは、自動車内装のファスニング部品※を中心に、国内外で幅広くお取引させていただいております。このたびは低炭素社会に向けた当社の省エネ改善の取り組みをご評価いただき、サステナビリティ賞をいただきました。自動車業界は100年に一度の大変革で新たなモビリティの形が創造され、サステナビリティの取り組みの重要性が高まる中で、当社としては「TS TECH サプライヤーサステナビリティガイドライン」を踏まえ、持続的な社会の実現に向けてテイ・エス テックさまと一体となって積極的に活動していきたいと思います。
当社は創業90周年を機に、創業の精神や企業理念を受け継ぎつつ、未来につながる経営の基礎となる新企業理念「パイオラックス ウェイ」を策定いたしました。その中で、パーパス「人と社会を技術でつなぎ、心弾む未来を実現する」を掲げ、パイオニアとしての技術と精神でさまざまな人をつなぎ、より豊かで安全快適な未来を実現することで、全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
- ファスナーやクリップなどの締結部品