社外取締役対談

社外取締役 取締役会議長 牟田口 照恭の写真 社外取締役 荻田 健の写真

Profile

1973年4月
富士電機株式会社入社
2008年4月
富士電機リテイルシステムズ株式会社(現 富士電機株式会社)取締役CTO
2010年4月
同社 取締役CTO執行役員常務
2011年4月
埼玉県産業技術総合センターセンター長
2015年4月
国立研究開発法人産業技術総合研究所 イノベーション推進本部 地域連携推進部関東地域連携室産総研イノベーションコーディネーター
国立⼤学法人埼玉⼤学研究機構オープンイノベーションセンター 産学官連携シニアコーディネーター
2016年6月
当社 取締役(現任)

Profile

1980年4月
三共株式会社入社
2004年7月
同社 執⾏役員医薬開発本部長
2007年4月
第⼀三共株式会社常務執⾏役員製薬技術本部長
2009年6月
同社 取締役専務執⾏役員
2014年4月
同社 取締役専務執⾏役員ワクチン事業本部長
北里第⼀三共ワクチン株式会社社長
2017年4月
早稲田⼤学⼤学院 創造理工学研究科 客員教授(現任)
2018年6月
日本ハーデス株式会社 社外取締役(現任)
2020年6月
当社 取締役(現任)

社外の視点、異なる分野の知見から、
「ESG経営による企業進化」を支えていく

テイ・エス テックでは、継続的な事業成長および企業価値向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に積極的に取り組んでいます。今回は、テイ・エス テックで初めて社外取締役として取締役会議長を務められている牟田口氏と、2020年度より新たに社外取締役に就任された荻田氏が、取締役会やガバナンスへの評価、さらなる成長に向けた課題について対談しました。

取締役会の雰囲気について

社外の目線から、自由に発言できる(牟田口)
社外取締役が議長を務めることで、公平性と客観性が高まっている(荻田)

牟田口:

社外取締役として期待される取締役会での役割は、まずは「緊張」と「協調」だと考えています。私は従来のテイ・エス テックの延長線上にない社外の目線から意見をすることで、各取締役に「緊張感」を持っていただくことと、全役員としっかりとコミュニケーションを取ることによる「協調」の両方を心掛けています。

取締役会の開催にあたっては、事務局からしっかりと議題の事前説明をもらえますし、社外取締役も気を遣うことなく自由に発言できる雰囲気であると感じています。製品分野は異なりますが、私はテイ・エス テックと同じくモノづくりの世界でキャリアを積んできました。その経験を踏まえ、製造業に不可欠である製造管理・品質管理の取り組みをはじめ、経営諸課題への対応の的確性やスピード感などについて、率直に意見をさせてもらっています。

荻田:

私は本年度から選任されたため、まだ分かっていないことも多いかもしれませんが「発言のしやすさ」という点で、非常に良い雰囲気を感じています。また、社外取締役である牟田口取締役が取締役会議長を務めていることで、議事の公平性、客観性がより高まっているという印象を受けています。

取締役会の実効性評価について

社会から要請されるガバナンスの本質は担保されている(牟田口)
後継者育成など、持続的な成長に向けた経営課題に有益な提言を行う(荻田)

牟田口:

当社は2018年から第三者機関が関与した形での取締役会実効性評価を導入していますが、その結果を見ても取締役会の実効性は年々着実に向上していると感じています。改善が進む要因は、役員トレーニングの成果も大きいとみています。近年テイ・エス テックでは社内取締役の世代交代が進んでいますので、グローバル企業としての各種の課題認識や専門知識に関するトレーニングをさらに推進していくべきだと考えています。また、評価結果を踏まえ、機関設計や取締役の指名・報酬決定プロセス、取締役会の多様性の確保などについても課題認識をもって取り組んでいます。当社は監査役会設置会社であり、近年要請される欧米型のスタンダードな機関設計とは異なるものの、私は、本来求められるガバナンスの本質である透明性・公平性は担保されていると評価しています。

荻田:

機関設計の話が出ましたが、組織の体制というのは、企業の実情や中身に合わせて組み立てられるべきであり、現状の仕組みが正しく機能しているのであれば、とても良いことだと思います。しかし、これからのテイ・エス テックの持続的な成長を考えると、変化が必要となることもあると思います。特に経営陣の後継者育成は重要な経営課題ですから、人材登用の仕組みを注視し、有益な提言を行っていきたいですね。

企業価値の向上に向けて

困難な時にこそ、成長基盤の構築にじっくりと取り組むべき(荻田)
企業の持続的な成長を支えるのは、「執行」と「監督」の両輪(牟田口)

牟田口:

企業価値を高めていくには「安定」と「成長」の両方が必要です。テイ・エス テックは連結財務諸表から見られるように「安定」の面では問題ないと認識していますが、今後重要となるのは成長戦略です。執行から提案された成長戦略の具現性について、取締役会で議論を重ねています。

荻田:

私も、テイ・エス テックは安定感に強みがあると考えますが、中長期的な成長を見据えると、お客さまや市場ニーズなどの環境変化を乗り越えていくために、今後は新しいビジネスモデルが求められることもあるでしょう。新しいビジネスモデルを構築することは、今までになかった企業カルチャーを生み出し、根付かせることも必要となりますので、社内の力だけでは壁にぶつかるかもしれません。そうした場面において、テイ・エス テックがそのポテンシャルを活かし新たな価値を創造していけるよう、社外取締役としての意見を述べていきたいです。

牟田口:

新たな価値を創造し成長を続けるためには、新しいビジネスへの挑戦も必要ですし、併せて、メーカーとしての永遠の課題であるQCDS(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期、Service:サービス)について、全側面から顧客満足度の向上を追求することも重要です。また、さらに100年に一度の大変革期にある自動車業界で競争力を発揮していくには、研究開発におけるトップランナーであることも求められるでしょう。今は、コロナ禍を発端に働き方の変革が迫られていますが、ここでしっかりと各事業領域の効率化を図り、企業価値向上につなげていく必要があると思います。

荻田:

取り組むべき課題が多く、さらにコロナ下の困難な時代ですが、そのような時にこそ、企業は成長基盤の構築にじっくりと腰を据えて取り組むべきだと思います。今後の市場動向を確実に捉え、成長の鍵となるお客さまをターゲティングし、何を成長戦略とするのかをより明確にしていくことが、アフターコロナの成長を左右するはずです。成長していくための財産はすでにあると思うので、それをどう活かすかが大切であり、とても楽しみでもあります。私にとって自動車業界は、これまで経験したことのない新しいビジネスセクターであり、社内取締役の皆さんにとっては突拍子もないと感じる意見を出すことがあるかもしれません。ただ、それも私に期待されることの一つと捉え、積極的に提言を行い、テイ・エス テックのさらなる成長基盤の構築に貢献していきます。

牟田口:

私は取締役会の議長として、取締役会における議論の活性化や付議事項への提案など、引き続きその実効性のさらなる向上に努めていきます。また、これまでと変わりなく、必要に応じて社外取締役としての意見を遠慮なく発していくつもりです。企業が持続的に成長するには「執行」と「監督」の両輪が不可欠で、それを実現するのは取締役会への社外目線の注入だと考えています。社外取締役の持ち味を最大限に活かせるよう取締役会を進行するとともに、社会の要請であるESG、そして、テイ・エス テックが「第14次中期経営計画」で掲げる、「ESG経営による企業進化」に貢献していきます。