トップメッセージ

さらなる成長を目指し、経営資源を惜しみなく投入していく(代表取締役社長 安田 真成)

はじめに

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。また、医療従事者をはじめ感染防止にご尽力されている皆さまに、心より敬意を表するとともに深く感謝申し上げます。

第13次中期経営計画(2017~2019年度)の最終年度で発生した新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大は、テイ・エス テックグループにも大きな影を落としました。次の10年となる2030年に向けた第一歩である第14次中期経営計画(2020~2022年度)は、その影響下でのスタートを余儀なくされ、世界各地が通常の状態に戻るには、しばらく時間を要する状況となっています。併せて、自動車業界は新たなモビリティ社会に向けた技術革新が著しいスピードで進み続けており、私たちサプライヤーに求められる「価値」が変化しています。そのような中においても、当グループは、これまで培ってきた自動車内装品のシステムサプライヤーとしての企業基盤をより一層盤石にしながら、さまざまな外部環境の変化に対し、多様に、そして柔軟に適応できる企業へと着実に進化させ、企業価値のさらなる向上に努めていかなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響により2019年度の収益は、売上収益で約164億円の減収、営業利益は約53億円の減益となりました。各国政府主導の操業制限などに伴うお客さまの生産停止を受け、中国を皮切りに、米州やアジア・欧州セグメントにおいて工場の稼働停止が発生するとともに、稼働可能な工場においても自動車需要の減退などによる受注台数の減少もあり、中国セグメントを除くすべての地域で前年に対して減産となりました。なお、2020年7月時点で全ての工場が稼働を再開しています。

事業継続の観点では、2020年1月29日に新型コロナウイルス全社緊急対策本部を設置し、情報収集、部品の代替生産やグループ内補完などの生産保全対応に取り組んだ結果、生産を継続している工場におけるサプライチェーンの途絶などの事象は発生しませんでした。シートのトリムカバーに関しては、複数の供給拠点で稼働が停止する事態となりましたが、国を跨いだ地域間での補完体制を構築していたことで供給を維持することができました。改めて効率化による集約とリスク分散のバランスの重要性を痛感しています。また、当グループはこれまでも、リーマンショックや東日本大震災、タイの大洪水をはじめ数多くの危機に直面してきましたが、これらの危機を教訓に築いてきた強固な財務基盤により、コロナ禍においても雇用の維持継続と、円滑な稼働再開ができたものと考えています。

世界規模で見ると、新型コロナウイルス感染症の終息にはまだ時間がかかり、見通しの不透明さは拭えません。引き続き状況を見極めながら、設備投資の見直しや経費抑制を図るとともに、各国政府や自治体などの指導に従い、感染拡大防止対策を徹底した上で、事業継続に努めていきます。

新型コロナウイルス感染症影響 概算
セグメント 2019年度 影響 2020年度 影響(見通し)
売上収益 営業利益 売上収益 営業利益
日本 △5億円 △5億円 △67億円 △24億円
米州 △52億円 △19億円 △320億円 △53億円
中国 △95億円 △25億円
アジア・欧州 △16億円 △3億円 △158億円 △44億円
連結 △164億円 △53億円 △510億円 △120億円
地域別新型コロナウイルス感染症による工場稼働停止期間
日本 稼働停止なし(一部生産調整実施)
米州 生産停止 北米 2020年3月中旬-5月上旬、ブラジル 2020年3月中旬-7月中旬
中国 生産停止 2020年2月上旬-3月中旬(春節休暇含まず)
アジア・欧州 生産停止 タイ 2020年3月下旬-5月初旬、インド 2020年3月中旬-6月中旬、インドネシア 2020年4月中旬-6月下旬、UK 2020年3月中旬-6月初旬 など

第13次中期経営計画を振り返って

第13次中期では、「Innovative quality company ─ 存在を期待される企業 ─」の実現に向けて「ESG経営※1の基盤構築」を経営方針に掲げ、「継続的な事業成長」「ダイバーシティマネジメントの実践」「社会環境との共生」を重点施策として展開してきました。その成果を振り返ると、施策軸ではおおむね目標を達成することができたと判断しています。

特に、「継続的な事業成長」の「部品競争力世界TOPの実現」については、各地域で積極的に取り組んでいる生産の自動化などにより、競争力は着実に向上しています。また、生産ラインの自動化プロジェクトを発足し、自動化の取り組みを加速させるとともに、製造設備の内製化に向けた専門部門の組織化など、生産技術の手の内化を進めています。

製品面では、従来のシートフレームに比べ約28%軽量化させ、世界TOPレベルの軽さ※2を実現した次世代シートフレームを上市しました。これを搭載したホンダ新型FIT用シートは、お客さまからも高い評価をいただいており、今後も採用機種の拡大を図っていきます。

人材の活躍を促す「ダイバーシティマネジメントの実践」では、日本でコアタイムのないフレックス勤務制度や選択制定年制度などの導入を行うとともに、海外では各地域の特性に則した人事諸制度の進化に取り組みました。

「社会環境との共生」では、CDP※3評価において先進的な環境マネジメント活動を行い、リーダーシップレベルにあるとされるA-(マイナス)評価の獲得や、本社社屋の建て替えにおける省エネ大賞経済産業大臣賞の受賞など、社外の皆さまからも高い評価をいただきました。

その反面、「世界No.1品質体質の実現」と「他販※4事業の拡大」については課題が残りました。

品質領域では、米州地域において大きな品質ロスが発生してしまいました。自動化の推進や教育ツールの拡充など、各種施策によって着実に改善されつつありますが、「世界No.1品質」は道半ばです。品質については、今後もグループ全体で自動化技術などの熟成に努め、品質ロス改善に取り組んでいきます。

他販事業については、フォルクスワーゲングループの3列目シート、トリムカバー、日系メーカーの照明パーツ新規受注など、受注件数は増加しているものの、欧米自動車メーカーからの受注の壁は高く、売上規模としては伸び悩んでいます。しかしながら、先ほど述べた通り受注件数は増えていますので、高品質で競争力ある製品を確実にお届けし、地道に信頼関係を構築していくことで、次のステップへとつなげていきます。

収益面では、2019年度はお客さまからの受注台数の減少や新型コロナウイルス感染拡大など、外部環境の影響もあり計画は未達となりましたが、営業利益率は同業他社に比べても高水準である8%台を維持することができました。競争環境が厳しくなる中においても、収益体質は強化されていると認識しています。

第13次中期を総括すると、事業基盤、収益体質ともに当グループを次のステージへと押し上げるための土台づくりを着実に実行できた3年間になったと考えています。

  1. ※1ESG経営:「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」を十分に配慮した「ESG」観点での経営
  2. ※2当社調べ
  3. ※3CDP:Carbon Disclosure Project。ロンドンに本部を置く国際非営利組織。世界主要企業の持続可能な経済に向けた、環境活動に関する情報を収集・分析・評価し、これらの結果を機関投資家向けに開示している
  4. ※4他販:主要客先以外の完成車メーカーへの販売拡大

第14次中期経営計画 ~さらなる成長に向けて~

次の10年に向けた2030年ビジョンでは「Innovative quality company ─ 新たな価値を創造し続ける ─」をステートメントに掲げます。2020年ビジョンに込めた想いである「改革」という軸はぶらさずに、引き続き質の高い経営とともに新たな価値を創造し続けていくという想いを込めました。

これに基づき、14次中期では「ESG経営による企業進化」を経営方針に、“攻め”の施策となる「事業成長に向けた進化」、“守り”の施策となる「進化を支える事業体質強化」の2本柱を企業重点施策として推進していきます。事業計画策定においては、各地域・各機能本部の13次中期での課題を明確に整理した上で、7つの企業施策に反映し、各社・各部門にブレイクダウンしています。

さらなる企業成長を遂げるためには売上の拡大が不可欠です。従って、“攻め”の領域で特に注力するのは前中期からの積み残し課題でもある「戦略的商権の拡大」です。そのために、主要なお客さまの受注シェア向上に加え、新規のお客さま・商権獲得を目指します。

主要なお客さまの受注シェアの向上では、これまで築いてきたパートナーシップを活かし、機種開発のより早い段階から連携し、先々を見据えた技術提案を行うことで、魅力的な商品開発につなげていきます。直近のシェアは58%でしたが、将来的には70%へ向上させていきたいと考えています。

新規のお客さま・商権獲得については、先ほど受注の壁は高いと言いましたが、自動車メーカーによって開発の仕組みやプロセスをはじめ、要求項目、商習慣も大きく異なることから、これまで1社に依存していたテイ・エス テックにとって“やり方”を知らないことが影響していたかもしれません。しかしながら、経験を重ねることでその“やり方”も徐々に分かってきました。これまで開拓してきた窓口を足掛かりに、新規のお客さま向けに提案できる技術・製品をより充実させ、受注ターゲットを確実に奪取していくことを目指します。主要なお客さまを除く他販売上を2030年には3,000億円規模に拡大したいと考えています。

なお、これらの非常に高い目標の達成には、従来の延長線上の事業活動ではなく、より戦略的かつスピード感を持った事業展開と判断が必要となります。その一環として、2020年4月より営業本部と購買本部の組織統合を行いました。これにより、受注からコスト・調達戦略までを一貫させ、よりスピーディーかつ責任を持った活動につなげていきます。

また、商権を拡大していくためには、お客さまのニーズを引き出せる唯一無二の「オリジナル技術の商品化」が必要不可欠です。従来の先行技術開発と併せ、社内複数部門から選任した社員による、これまでの枠組みにとらわれない新価値創造プロジェクトを推進するとともに、産学共同・異業種とコラボレーションした研究開発活動も積極的に展開していきます。

さらには、部品競争力強化や新規のお客さま獲得をすばやく達成するための手段として、M&Aも積極的に活用していきたいと考えています。経営資源の分散や収益力の希薄化には注意を払いつつ、確かな技術力を保有し、かつ当社との補完性が高い相手があれば、しっかりと評価を行い、これまで築いてきた財務基盤を活かして経営資源を惜しみなく投入していきます。

継続的な成長を実現するためのESG経営

当グループは、持続可能な社会の実現へ貢献していくことが、継続的かつさらなる企業成長につながるものと考えており、14次中期も引き続きESG経営を主軸に置き、さまざまな施策を推進していきます。

ESGへの取り組みの有効性を高めるため、13次中期より経済(ガバナンスを含む)・環境・社会の3側面から企業の持続可能性を評価するダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)をベースとした第三者評価を受けています。客観的な視点で抽出された弱点に対し、企業価値向上につながる領域を最優先に対策を重ねたことで、中期終了時点では、当初ベンチマークとしていた輸送用機器業界の平均値を全領域で上回ることができました。

また、ガバナンス領域では、2020年6月に取締役会の透明性・公平性を強化するため、取締役会議長を社外取締役も務められるよう定款を変更するなど取り組みを加速させています。なお、この変更以降、社外取締役が取締役会議長を担当しており、社外取締役を交えた議論の活発化、執行と監督機能の明確化が図られています。

今後もDJSI評価向上のみを目的とするのではなく、本質を捉え「テイ・エス テックらしさ」を大切にしながら、ESG各領域の強化に取り組んでいきます。また、14次中期では、マテリアリティ(重要課題)をはじめ企業として求められる財務・非財務情報の開示をさらに拡充させ、各ステークホルダーの皆さまに当グループをより理解していただくとともに、対話の促進につなげていけるよう努めていきます。

ステークホルダーの皆さまへ

各サプライヤーが生き残りをかけて臨む自動車業界の構造変革をはじめ、新型コロナウイルス感染症や自然災害など、企業運営を脅かす重要な課題は増え続けています。そのような中、当グループは1960年の設立から本年60周年を迎えようとしています。これまでにも何度となく苦境に直面いたしましたが、それらを乗り越えられたのもひとえに皆さま方のご支援の賜物と深く感謝しております。

当グループが今後100年続く企業になるためにも、長年真面目に取り組んできた技術開発や生産活動、強固な財務基盤、醸成してきた企業文化、人材など、全てのリソースをフル活用して、第14次中期経営計画の必達に向けて邁進してまいります。

ESG経営を軸に、常に今を超える新たな価値を創造し続け、より一層ステークホルダーの皆さまから存在を期待され「喜ばれる企業」を目指してまいりますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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