環境にやさしい素材を活用した自動車部品開発

環境にやさしい素材を活用した自動車部品開発

環境負荷低減や高機能性から自動車領域への活用が注目されている
植物由来の素材セルロースナノファイバー(CNF)
テイ・エス テックでも内装品への応用に向けた研究を進めています

環境に優しいモノづくりが自動車業界の未来を担う

自動車業界として持続可能な社会の実現に貢献していくためには、燃費向上や材料削減に寄与する軽量化、環境に優しい素材の活用など、環境負荷低減への取り組みが必須と言えます。

当社はその取り組みの一環として、セルロースナノファイバー(以下、CNF)の自動車部品への実用化に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)※1の「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」プロジェクトから提供されたサンプルの評価などに協力しました。そして当社は、性能検証等を行ったCNFを混ぜた強化樹脂を活用したドアトリム(ドアの内張り)の成形に成功しました。

CNF強化樹脂は剛性に優れ薄肉化が可能であり、軽量化の達成手法として期待される反面、材料特性上破断しやすいもろさもあり、成形することが難しいとされています。当社では、同プロジェクトからアドバイザー評価用サンプルとして提供されたCNFを10質量%※2添加したポリプロピレンを用いて、従来素材のドアトリムと比べ板厚を2.0mmから1.5mm薄肉設定にて成形し、▲17%の軽量化を実現しました。

セルロースナノファイバー(CNF)とは

植物由来のセルロースを、直径約3~数百nm、長さ数μmにほぐすことで生まれる最先端のバイオマスナノ繊維素材

植物由来であることから、鉄鋼の5倍の強度を持ちながら軽さは5分の1と、高強度・軽量性に優れています。また、再生可能であり、資源の少ない日本において、森林資源を活かした新素材として注目されています。自動車部品類に活用することで、さらなる軽量化を実現し、燃費向上、環境負荷低減への貢献が期待されます。

  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO):「エネルギー・地球環境問題の解決」や「産業技術力の強化」実現に向けた技術開発の推進を通じて、経済産業行政の一翼を担う、国立研究開発法人。産学官が有する技術力、研究力を最適に組み合わせ、社会課題の解決や市場創出を目指している。
  • 質量%:溶液に対する溶質の質量の割合
樹脂材とCNF材を配合
CNF強化樹脂素材
成形 板厚1.5mm・軽量化▲17%(従来素材比)