2024年03月18日
新機種紹介
普段使いでも福祉車両としても
快適で便利なリアシート
Honda N-BOX Rear Seat
N-BOXをもっと快適で便利な車へ
軽自動車の既成概念を超えてユーザーに喜ばれる車、2017年度、日本で一番売れた車、Honda NEW 「N-BOX」。
当社ではリアシートの開発から生産までを手掛けています。
今回は、その新たな価値創造に関わったプロジェクトメンバーにお話を伺いました。
Profile
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田中 睦実
製品技術部 部長
※開発時 機種LPL室 LPL(ラージ プロジェクト リーダー)
1986年入社。開発試験部門に配属後、商品開発部門を経て、試作部門へ異動。試作課長を担当した後、2010年に機種LPL室に異動し、LPLとしてさまざまな担当機種の立上げを取りまとめる。2018年4月より、製品技術部へ異動、部長を務める。
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砂庭 翔太
設計部
スロープ仕様 設計PL(プロジェクトリーダー)
2011年入社。設計部門に配属後、特殊なシートやMMC(マイナーモデルチェンジ)の設計を担当。今回、初めてFMC(フルモデルチェンジ)の設計PLを務める。
以前LPLを務められたN-BOX SLASH リアシートからの進化点は何ですか?
NEW N-BOXリアシート開発の三か条(進化点)は、「軽く、安く、薄く」でした。
その中で最も苦労したのが「薄く」することです。 N-BOX SLASH(以下:SLASH)とシートアレンジが同じなので見た目では変化がわかりにくいですが、付属部品のスライドレールを含め、シートフレーム(骨格)から全てを見直しています。SLASHと違い、“ ママチャリ(一般的な27インチ自転車)がラクに積める” 荷室がこの車の売りであり、少しでも室内高が稼げるように努力しました。開発途中で助手席にロングスライドレールが追加され、ダイブダウン※2した際のリアシートの厚みをさらに薄くという難題が発生しましたが、「(スライド機構のない)前モデル同等の荷室を確保したい」というお客さまの要望に応えるべく試行錯誤しました。
強度と「薄く」の両立が想像以上に難しく、コストを抑えながら対策を講じると、残念ながら「軽く」の当初目標に叶わなかったものの、でき得る限りの軽量化を図りました。
「安く」については、レールやフットパイプの機構を簡素化して部品点数を減らすことで対応しました。たくさんの方々のご協力を得て、これまでの軽自動車にはない居住空間と荷室を実現できたNEW N-BOX。エンドユーザーの皆さまには、快適性と利便性を追求したこのリアシートをぜひ、ご体感いただきたいですね!
※2シートの背もたれを前方に倒した際に、連動して座面が沈み込む機構
開発で苦労された点、こだわった点は何ですか?
リアシートの座り心地と、シートを倒して車いすがしっかりと固定される安全機能の両立ですね。開発は一筋縄ではいきませんでした。座り心地を重視するとシートの厚みがある程度必要です。一方、車いすでの乗降性を考えた収納時のフルフラット化を実現させるためには、シートを厚くできませんでした。相反する要件にどうアプローチすれば良いか?かなり苦労しました。
また、荷室がアピールポイントのN-BOXにおいて、シートに重い荷物がぶつかっても壊れない強度というのは必須です。シートを薄くするということは、シートの骨格である鉄部分を薄くしなければならず、単純に削ぐだけでは強度が落ちます。いかに薄くしつつ、強度も維持するかというところにチャレンジしました。隔壁試験※4などの安全性に対応しつつ、最終的に乗員の乗り心地、利便性もクリアしたシートを作ることができました。
※4衝突時に荷室の荷物がリアシートに激突した際の製品強度を検証するテスト。
モノづくりへの熱い想いをお願いします!
設計PLというポジションを経験でき、また、スロープ仕様という、会社にとっても自分にとっても新たなチャレンジを要する開発に携わらせていただくことで、大きく成長することができました。特殊な機種開発はなかなか骨の折れる作業の連続ですが、自分たちがやりがいや喜びをもって業務に臨むことが、結果、社会やステークホルダーに喜びを与える商品づくりにつながると思います。