2024年03月18日
新機種紹介
走りを愛するドライバーと
共鳴するスポーツシート
Honda CIVIC TYPE R
なかでも、スポーツモデルの最上位グレードとして名高い「TYPE R」がフルモデルチェンジされました。
サーキットから街中まで幅広いシーンで、あらゆるドライバーが走りを楽しめるクルマにふさわしいシートとは?
開発に臨んだプロジェクトメンバーの方々にお話を伺いました。
Profile
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佐山 直人
機種LPL室
LPL(ラージ プロジェクト リーダー)
1987年入社。四輪車向けシートの設計部門に配属後、2001年よりアメリカ駐在。帰国後はLPLとして担当機種の開発から立上げまでをとりまとめる。
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井上 和也
設計部
2014年入社。設計部門に配属後、シートの骨格となるフレームの設計業務に携わる。
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阿部 龍平
開発試験部
2013年入社。開発試験部門に配属後、量産シートの安全試験を行う業務に携わる。今回のプロジェクトでは試験を担当。
井上改めて、旧型TYPE Rと新型TYPE Rを比べると、シートの見た目はほぼ変わらないのですが、その性能は全然違います。新型は、よりホールド性に磨きをかけ、面で体を支える設計になってます。
阿部TYPE Rは、日常の走行もできるし、サーキット走行もできるというシートコンセプトが大前提にあったので、TYPE R特有のホールド性だけに特化せず、快適性も今まで以上に兼ね備えた仕上がりを目指しました。率直に言えば、TYPE Rはスポーツカーと普通車の“良いとこ取り”をしたものなんです。でも、良いとこ取りをすると、中途半端になったりすることが多いんですが、今回の新型はホールド性はもちろん、快適性も抜群。両立したことが凄いんです。
井上治具は通常、生産機種が変わるごとに取り替えます。しかし、一つのラインで生産する機種が多岐にわたればわたるほど、取り替えによるタイムロスや人件費もかかります。 また、TSUKではシートフレームの溶接を自動一括溶接※で行っており、大幅な治具の改良を行わなくても、効率的な生産ができるように工夫する必要が出てきました。そこで、現在の生産ラインを邪魔することなく、既存設備の中でTYPE Rが生産ができるよう他のフレームと共有できる治具を造ることにしました。TSUKの生産部門が日本の設計部門に足しげく通い、彼らと議論を交わしながら私たち(設計部門)は治具検討を進めていきました。時には、意見がぶつかりあうこともありましたが、互いに納得できるまで深く話し合い、なんとかカタチになりました。
※ 従来複数工程で行っていた、シートフレームの溶接を一度に行う工法
プロジェクトを終えて
開発と生産を一貫して行うテイ・エス テックだからこそ
成しえたプロジェクト
佐山工場へ生産を移管したときには立ち上げに苦労したけれど、生産部門の方だけでなくサプライヤーにも迅速に対応していただき、何とか納期に間に合いました。「こんなの無理だ。日本でもできないよ。立ち上げを遅らせよう」という話も出ましたが、今回は本当に生産部門の皆さんががんばってくれました!日程は厳しかったけど、生産部門の皆さんのおかげで何とか無事に立ち上げることができました。日本の開発部門とTSUKの生産部門が一丸とならなければなし得なかったプロジェクトでした。今でも現地工場の皆さんに対しては、感謝の気持ちでいっぱいです。
阿部東京モーターショーでは、多くの方が自分の手がけたシートに注目してくださいました。その場で自分も展示されているTYPE Rのシートに座ったとき、素直に嬉しかったです。
また、Hondaブースで完成車に載っているシートを見たときも、改めて「僕は自動車のシートメーカーで働いてるんだ」って実感しました。車としての完成品を見るとやっぱり感動しますよね。
井上入社3年目で、初めて量産に携わった機種であり、思い入れは強いです。世界中のドライバーの心を刺激する存在となってほしいですね。
そんな機種の量産に携われて光栄でした。