製品情報

ワンランク上の 「ゆったり」と 「高級感」をカタチに Honda GRACE

Hondaの新世代コンパクトセダン「GRACE」。
Hondaセダンの新たな顔として登場した「GRACE」の、シート(座席)とドアトリム(ドアの内張り)の開発について、プロジェクトメンバーにお話を伺いました。

profile

機種LPL室
LPL(ラージ プロジェクト リーダー)

島野 敏之

1979年入社。ハンドルの生産工場に配属。
その後、技術部門で、ハンドルや内装の開発を担当。その後、生産技術部門を経て、タイに駐在。帰国後、2013年に機種LPL室に異動し、LPLとして担当機種の立上げを取りまとめている。

設計部

荻野 大祐

2006年入社。設計部門に配属後、シートの設計を担当。その後、デバイス(機構)関連の設計を経て、現在は、シートの設計を再度担当している。

設計部

久保 尚己

2007年入社。設計部門に配属後、ルーフの設計を担当。現在は、ドアトリムなど内装の設計を担当している。

プロジェクトの背景

島野:
Hondaのセダンとして有名だった「シビック」が海外専用車となった今、日本でも新たなコンパクトセダンが待望されていました。そこで、新世代のコンパクトセダンとして誕生したのが「GRACE」です。私たちは、そのシート(座席)とドアトリム(ドアの内張り)の開発を担当しました。“細部まで行き届いた技術”と“座り心地の追求”にこだわり、ワンランク上の仕立てにすることでお客さまのコンセプトをカタチにしました。

頸部性能の追求と高い質感へのこだわり

島野:

「GRACE」では、当初より戦略的に定められたフレーム(骨組み)で開発展開することが条件でした。でも、そのフレームをそのまま流用できるかというと、そうではないんですね。セダン系の「GRACE」とハッチバック系の「フィット」では、シートの高さや角度も異なるため頸部性能(首部分の衝突時の安全性)が変わってきてしまいます。今回の「GRACE」は、「フィット」に比べてシート位置が低く、クッションの座面角度が起きているため、衝突時に人がシートに入りこみにくくなり、ヘッドレスト(頭を支える部分)と頭部の距離が遠くなります。つまり頸部性能という面で不利になります。

荻野:
頸部性能は、衝突した時にいかに早く頭部をシートで受け止められるかが大切です。そのため、通常はシートのフレーム自体を変えるのですが、今回は変更できる部品が限られていました。そこで私たちはヘッドレストの仕様を見直したんです。
島野:

ヘッドレストの形・厚みを変えて、後面追突時における頸部への傷害値を軽減しやすくしました。試験部門と連携して、フレームの代わりにヘッドレスト形状や背もたれのウレタン硬度などいろんなアイデアを出し合って工夫したんです。シミュレーションを含めたテストは何度も繰り返していただきましたね。

荻野:
その結果、クラストップの頸部性能と、“柔らかすぎず、硬すぎない”乗り心地にもこだわったシートを開発することができました。この車はセダンタイプなので運転姿勢は少し寝た状態になります。ハンドルを握ると背中とシートの距離が離れてしまうため、衝突時にいかに身体をシートに入りこみやすくするかがポイントです。頸部性能を高めるためには、ヘッドレストが硬すぎてもダメですし、柔らかすぎてもダメです。その中間点を見極め続けました。もちろんリアシートも、ゆったりとした座り心地と上質感を実感できるシートに仕上がったと自負しております。

JNCAP後面衝突頚部保護性能試験最高評価獲得

独立行政法人 自動車事故対策機構が行った、平成26年度の自動車アセスメント(安全性能評価)試験で、「GRACE」が安全性能総合評価の最高評価である5☆(ファイブスター)を得て、『JNCAP*ファイブスター賞』を受賞しました。
試験方法のなかでも、後ろから追突された時の頸部への傷害値を評価する「後面衝突頚部保護性能試験」では、たいへんハードルが高いと言われる満点を獲得し、当社のシートが同車の安全性向上に大きく貢献することができました。

*JNCAP:Japan New Car Assessment Program

木目込み(きめこみ)にこだわった優美なドア

島野:
ドアトリムにも、様々な工夫をしています。ドアを開けた時に目を引く、大きく貼られた表皮。これは表側から貼り込んでいます。ドアトリムには布の部分と樹脂の部分がありますが、普通、異なる2つの部分を合わせる場合は、別々に作って、布を巻いた樹脂をはめ込むのが一般的です。しかしこの機種は、表皮を製品上面から貼り込む「木目込み(きめこみ)」技術を採用しています。「木目込み」とは、溝に表皮を押し込む技術で、日本の伝統工芸品のひとつである「木目込人形」をつくる技法から、このような言い方をしています。この技術によって部品点数を減らしながらも、上質感を実現しています。
久保:
もうひとつの特長は、プルポケット(開閉時に手をかける箇所)に施したヒンジ構造です。ドアをつかんだ時のグリップ感も大切にしたくて取り入れたのですが、金型で成形する際のレイアウトが難しくて…
過去機種でも同構造の物を手掛けていたので、さらに良くしたいと言うプレッシャーを感じていましたが、とても良い仕上がりになったと思います。

ドアトリムに施した高度なマスキング

島野:
インナーハンドル(車室側ドアノブ)前方にツイーター(高音域スピーカー)があり、リング状の塗装を施していますが、当初は、太い幅で塗装していました。しかし、「細くした方がよりカッコいい」ということから、量産も間近に控えている頃ではありましたが、急遽改善を図ることにしました。
久保:
細く塗装するには、高度なマスキング技術が必要になりますが、別の部品に変えるとなると他への影響がとても大きいため、今回は塗装業者とやり取りを繰り返し、レベルの高いマスキング技術を構築しました。ようやく完成した時は嬉しかったですね。
島野:
なかなか気づかれにくい部分ですが、細部までクオリティを追求する精神で造り上げた結果、上質なドアに仕上がりました。

高度なマスキング技術で塗装されたツイーターグリル

プロジェクトを終えてすべては、座り心地への飽くなき探究心

私たちが技術開発を進めていく上で、最もこだわっているのは「座り心地」です。これは、“人が座る”製品を世に送り出す企業の使命だと考えているからです。座り心地の良し悪しは、背骨の形状の最適値など、数値化されてはいますが、最終的にジャッジするのは、人のフィーリングです。技術者としての経験と長年の感覚から最適な座り心地を重要視しています。これからも徹底的に座り心地にこだわっていく覚悟です。私たちにしか実現できない快適な座り心地、そして安心と上質感を、「GRACE」で実感していただきたいですね。

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