社外取締役メッセージ

取締役会の多様性を最大限に活かし環境変化に負けない企業成長を果たす

社外取締役メッセージ 松下 香織の写真

2025年6月の株主総会を経て、当社取締役会議長に就任いたしました。当社の社外取締役として4年目を迎えるにあたり、これまで培ってきた知見と経験を活かし、ガバナンスのさらなる強化と企業価値の持続的な向上に尽力していきます。

自動車業界は今、100年に一度といわれる大変革期にあります。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に象徴される技術革新は、車両の概念そのものを変えつつあり、同時にサプライチェーン全体にも構造的な変化をもたらしています。2025年3月期は、EV市場の成長が一時的に鈍化し、消費者需要も想定を下回るなど、業界全体が踊り場に差し掛かったことに加えて、原材料価格や労務費の高騰、米国の通商政策等、企業努力だけでは乗り越えがたい外部環境の変動が経営に大きな影響を与えました。

今後も不確実性は続くものの、新たな技術革新が本格化していくものと見込まれます。当社は第15次中期経営計画に掲げる「成長戦略」「地域戦略」「機能戦略」の下、事業の持続的成長と資本効率の向上に取り組んでいます。特に「稼ぐ力の強化」は経営陣全員の共通認識であり、ROE等の経営指標の改善にも取締役会として積極的に関与していきます。

取締役会については、毎年実施している実効性評価を基に、社内外での議論を重ねながら継続的な改善を図ってきました。その結果、取締役会の実効性は着実に向上していると実感しています。現在、当社の取締役会は11名体制で、社内6名・社外5名により構成されています。社外取締役は多様な専門性と経験を有しており、2025年6月からは女性取締役が3名となりました。これは、「女性版骨太の方針2023」で示されたプライム市場上場企業における女性役員比率30%以上という政府目標に近づく着実な歩みであり、当社のダイバーシティ推進の一端を示すものです。

さらに今後は、取締役会議長として、多様なバックグラウンドを持つ取締役各々の知見を引き出し、建設的かつ活発な議論を促すとともに、取締役会を監督し、健全性と透明性の確保に努めていきます。また、人的資本やサステナビリティといった非財務領域も注視し、あらゆるステークホルダーの期待に応える経営を推進していきます。

私は約38年間にわたりIT業界に身を置き、幾度もの技術革新と産業構造の変化を経験しており、前職では大手IT企業との戦略提携を通じて、新たな付加価値の創出やビジネスモデルの再構築に取り組みました。業界は異なれど、変革期における企業の進化と成長を支えてきた経験を、当社の経営にも活かしていく所存ですので、引き続き、皆さまのご支援とご期待にお応えできるよう、誠心誠意取り組んでいきます。

当社のモノづくりを客観視して持続的な企業価値向上に貢献する

社外取締役メッセージ 和田 浩美の写真

私はパナソニックに約40年勤め、基礎研究から商品開発、品質管理に至るまで、多岐にわたる領域でモノづくりに携わり、退職後は複数の企業で社外取締役を務めてきました。長らく一つの企業で経験を積んだ後に外の世界を知ることで、各社の違いがより鮮明に見えるようになり、客観的かつ多角的な視点で企業経営に臨めるようになりました。当社の取締役会においても、これまで得られた知見から説得性のある提言を行い、会社の内側からは得づらい“気付き”を発信していきたいと考えています。2025年6月の株主総会をもって取締役に就任し、現時点での取締役会への出席回数はまだ少ないかもしれませんが、社外取締役と常勤取締役の間に不自然な隔たりはなく、闊達な議論が交わされる健全で建設的な議事運営が行われていると感じています。これから当社の理解を深めていくとともに、議論にも積極的に加わっていくことで、激動の時代を迎えている自動車業界の荒波を乗り越えられる、機動的な企業経営に貢献していく所存です。

近年、自動車業界ではEVメーカーの台頭やサプライヤー間の経営統合等、業界再編の流れが顕著であり、当社においても勝ち残りを懸けた変革が求められています。私はパナソニックのキャリアにおいて最後にオートモーティブ事業に携わりましたが、それ以前に経験した業界と比較すると自動車業界は、“完成車メーカーとtier1メーカー”、“tier1メーカーとtier2メーカー”というサプライチェーン上の関係性がより重視されており、強固な信頼関係構築が必要不可欠であると考えています。その点において、保田社長は非常に積極的に取り組まれており、この業界にふさわしいリーダーであると感じています。私もその姿勢に応えるべく、しっかりと力添えをしていきます。

また、自動車業界に限らず、モノづくりにおいては品質こそが最優先事項です。私は過去に品質責任者として工場に赴任していた経験もありますが、安定した品質は完成品検査の精度で決まるのではなく、その上流である製品設計の段階から、いかに生産性や品質面を考慮しているか、が肝要であると考えています。当社では、取締役会において毎月品質関連の報告が行われており、ケースに応じて適切な対策を上流・下流問わず、執行へと移しています。これはガバナンスの観点からも効果的な取り組みであると評価しています。

最後に、私の信条は「公明正大」と「お客さま第一」です。誠実さを忘れず、世のため、人のために行動をしていけば、結果は必ず返ってくると信じています。当社の企業理念の一つである「喜ばれる企業」とも通ずるものであり、今後もこの信条を実践し続けることで、ステークホルダーの皆さまのご期待に応えてまいります。