人的資本に関する取り組み
当グループは企業理念の一つに「人材重視」を掲げており、「人こそ企業の決め手」と考えています。
その考えを人材戦略の基礎として、働きやすい職場環境づくり、人材力の強化、成長・貢献意欲の醸成に努めていくことで、社員一人ひとりの価値創造力を最大化し、企業価値向上につなげていきます。
- 当社社員を対象とした、株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティング
目標とする「AAA」は全11段階中、最上位のレーティング - 女性・キャリア採用・外国籍・高齢者・障がい者の管理職比率
働きやすい職場環境づくり
多様な人材の活躍を促す取り組み
当グループは、ダイバーシティの重要性を認識し、多様な人材が個々の能力を発揮して活躍していくために、さまざまな取り組みを推進しています。
女性活躍推進
社員の声を広く集めた上で、マタニティ制服の導入や子育て支援ガイドブックの発行、社内保育所の設立などに取り組み、政府による各種認定を取得しています。
くるみん認定(2015年5月)
次世代育成支援対策に取り組んでいる“子育てサポート企業”として認定。
えるぼし(2016年10月)
女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業として、最高ランクの3つ星認定。
ベテラン社員のスキル継承
定年退職年齢を65歳とし、社員一人ひとりが満60歳以降、自身の定年退職時期を選択できるようにしています。ベテラン社員が働き続けられる環境を整備することで、専門的な技術や知識を継承できる期間を設け、事業継続性を高めています。
障がい者雇用
当社では障がい者の採用・定着に向け、さまざまな取り組みを行っています。求職者には、仕事内容の理解を深め、安心して入社してもらえるよう、就労体験を実施しています。また、障がいの特性に合わせた職場環境整備を進めるため、ハローワーク・就労支援センターと定期的にコミュニケーションを図っています。さらに、社員へのアンケート調査・ヒアリングを実施することで、困り事の把握・改善に取り組んでいます。
ワーク・ライフ・バランスの充実化
社員が仕事とプライベートを両立し、ライフステージに応じて多様な働き方を実現できるよう、さまざまな制度を整備しています。
有給休暇においては、半日単位の有給休暇制度を導入するなど、より利用しやすい制度の構築に努めています。2024年の東洋経済新報社による「『有給休暇の取得率が高い』200社ランキング」において1,714社中第7位(有給休暇3年平均取得率:100%)となるなど高い取得率を維持しています。
さらにコアタイムのないフレックスタイム制勤務や在宅勤務制度の導入により、効率的な時間配分による労働生産性を向上しつつ、短時間勤務制度を子どもが小学校を修了するまで利用できるよう拡充するなど、各種制度を構築し、働き方の多様化を推進しています。
このような取り組みにより、柔軟な働き方を実現することで、仕事と育児・介護との両立支援やワーク・ライフ・バランスの充実化を進めています。
労働安全衛生管理の推進
「『人材重視』の理念に基づき、『安全』と『健康』を事業活動の根幹に位置付け、職場環境の継続的向上を目指す」ことを安全衛生基本方針に掲げ、当社で働く全ての人が安全で安心して活き活きと働けるよう、労働安全衛生活動を行っています。TS行動指針※に基づき、より具体的な定量的目標を設定し、施策実施・進捗評価・内部監査・経営層による見直しを行う、労働安全衛生マネジメントシステムの国際標準規格「ISO45001」に基づいた運用をしています(2024年9月、国内全拠点でISO45001認証取得)。具体的には、研修を通じた社員のリスク低減能力向上や各事業所でのリスクアセスメント実施など、人材育成と併せた計画的かつ優先度のある労働災害防止対策実施により、安全で健康的な職場環境を実現します。また、緊急事態発生時には、人命を最優先し、被害が最小限となるよう、定期訓練の実施や社内規定の整備に努めています。
健康管理面では、「ストレスチェック」の実施に加え、産業医などと提携し、心身に不安を感じる社員が早期に専門的なケアを受けられる体制を整えているほか、メンタルヘルスへの正しい理解を促進するための社内研修も定期的に開催するなど社員の健康増進に努めています。
- 当グループの一人ひとりが常に誠実かつ適切な行動を実践できるよう、具体的な方針を定めたもの
労働安全衛生マネジメント強化への取り組み
当グループは、構内で働くすべての人が「安全」で「健康」に働くことを目的に、労働安全衛生マネジメントシステム国際規格ISO45001の認証取得を進めており、連結子会社37社のうち9社、持分法適用関連会社1社が取得(2024年10月時点)しています。
今後も職場環境の継続的向上を目指すため、労働安全衛生マネジメントの強化拡大に努めます。
ISO45001 認証取得拠点
地域 | 拠点 | 取得年月 |
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日本 | テイ・エス テック株式会社 | 2024年9月 |
米州 | TS TECH CANADA INC. | 2022年2月 |
TS TECH DO BRASIL LTDA. | 2021年2月 | |
中国 | 広州提愛思汽車内飾系統有限公司 | 2023年1月 |
広州広愛興汽車零部件有限公司 | 2019年9月 | |
武漢提愛思全興汽車零部件有限公司 | 2020年4月 | |
アジア・欧州 | TS TECH (THAILAND) CO., LTD. | 2019年5月 |
TS TECH SUN INDIA PRIVATE LIMITED | 2021年4月 | |
TS TECH SUN RAJASTHAN PRIVATE LIMITED | 2020年7月 | |
PT. TS TECH INDONESIA | 2024年6月 |
- 連結子会社37社のうち9社、持分法適用関連会社1社が認証取得済
労働安全衛生内部監査
前年度のマネジメントレビューや、過去の監査結果などを踏まえ、1年に1回労働安全衛生内部監査プログラムを策定しています。内部監査では、リスクアセスメントでのリスク低減施策やその効果、労働安全衛生法規制の遵守状況、ISO45001規格の運用状況などを監査しています。監査において不備や不適合と判断された事項は、迅速かつ適切に是正を促し、労働安全衛生マネジメントレベルの向上を図っています。
労働安全衛生法令の遵守
当社では、労働安全衛生マネジメントシステムにおいて事業所ごとに「法定要求事項一覧表」を作成し、毎年期初に遵守すべき法令や要求事項の見直しを行っています。また、半期に1回それらの遵守状況評価を行っており、労働安全衛生関連法規制違反となる事案は発生していません。
労働安全衛生教育
当社では労働安全衛生基本方針に従い、働く人に対し労働安全衛生・健康・メンタルヘルスに関する各種教育・啓発を行っています。ISO45001の観点では、リスクアセスメントによるリスク低減を目的としたリスクアセスメント実務者教育を実施しています。健康経営面では「ストレスチェック」の分析結果よりストレス低減を目的とした「睡眠」に関するセミナーや、メンタルヘルスへの正しい理解を促進するため、階層別の社内研修も定期的に開催するなど、さまざまな取り組みによって社員の健康増進に努めています。
2024年3月期における労働安全衛生目標・実績(国内単体)
項目 | 目標 | 施策 | 実績 |
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労働安全衛生 |
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- リスク低減率=(リスク抽出時ポイント-リスク低減後ポイント)/リスク抽出時ポイント
出産に伴い、約1年間の育児休職を取得しました。当時、コロナ禍で在宅勤務中心の働き方だったこともあり、リモートでの引き継ぎに不安がありましたが、周囲の理解と協力によりスムーズに休職へ入ることができました。
休職中は、我が子の成長を常に間近で見守ることができ、かけがえのない時間を過ごすことができました。復職時は、「会社の変化についていけるだろうか」と不安になりましたが、上司が会社の動向や職場の体制について丁寧に説明してくれたおかげで、安心して職場復帰できたことを覚えています。また、短時間勤務で働く私へ無理のないように業務分担を考えてくれ、職場の皆さんからのサポートを実感しました。
最近では、育児休職の取得可否よりも、その後のキャリア形成に不安を覚える方が多いと思います。さまざまな理由から、誰もがワークよりもライフを優先しなければならない時期がありますが、当社にはそれを叶える制度と支え合う風土が根付いており、自己のキャリアを実現できる環境が整っていると感じます。
人材力の強化
成長を支える多様な人材の採用・確保
次世代を担う人材の確保に向け、豊富な採用チャネルの開拓を行うことで、多様な知識・経験を持つ人材の採用に力を入れています。
留学生や第二新卒者など、従来の一括採用では出会えなかった多様な経験を備えた人材を年間を通して採用できる「通年採用」や、さまざまな理由で退職した社員が再度活躍できる機会を提供する「カムバック採用」、社員の信頼する人脈から優秀な人材の紹介を受け、入社後のミスマッチを少なくできる「リファラル採用」など、採用手法の拡充を行っています。
多角的な育成体系による人材育成
新たな価値を創造し続けることのできる組織を目指し、自ら課題を設定し行動を起こすことのできる自律型人材の育成に努めています。
また、全ての年代・階層において次世代を担う社員の育成が必要と考え研修プログラムを構築しています。研修内容には、今後必要となるマインド・スキルに加え、全社視点から課題設定をする力の獲得に向け、経営に関わる知識の段階的習得も織り込んでいます。
また、自律的なキャリア構築を促すための年齢別研修や、社員の学ぶ意欲に応えた自己啓発学習の機会拡充にも取り組んでいます。
多角的な研修体系による人材育成
TS経営塾
次世代経営者の育成を目的として、経営リテラシー(知識)の体系的習得を図り全体最適の視座を磨く「Basic」コースと、自己の周囲への影響力を可視化し、リーダーとしての在り方(器)の開発を図る「Advance」コースに分けた、効果的な人材育成を図っています。
「Advance」コースは2024年より開始し、14名が約半年間のプログラムを受講しています。
参加者のコメント
- 不確実性の高い時代においては、未来に関する幅広い情報を収集しながら今後の向かうべき方向性を示していかなければならないと感じた。
- 同僚や上司、部下など多角的な視点から自身のリーダーシップの状態が可視化され、良い刺激になった。
アクションプランシート
各研修効果の最大化と、自ら課題を設定し、自己成長に取り組む風土の醸成を目的として、各研修受講後にアクションプランシートによる行動計画の設定を行っています。
研修で得た学びから自身の現状を振り返り、将来のありたき姿をテーマとして掲げ、具体的な行動計画を設定し、日々の行動変容を促します。上長から適宜アドバイスを受けながら計画推進することで、自律的なキャリア構築だけでなく、組織におけるコミュニケーションの活性化にも寄与しています。
取り組みテーマ事例
- 後輩指導・育成力の強化
- 海外駐在を見据えた、知識拡大のための資格取得
- 先を見据えた企画・提案力強化
成長・貢献意欲の醸成
適正評価によるモチベーション向上
社員各々の役割に見合った行動や成果を正しく評価し、給与・等級・表彰などの処遇を通じて報いることで、社員の挑戦・貢献意欲の向上につなげています。また、社員に気付きを与え、自らの成長を促すために、業務実績や能力の発揮状況などについて、定期的に上司からのフィードバック面談を行っています。
経営参画意識の醸成
社員一人ひとりが株主の皆さまと同じ目線を持って経営に参画する意識を高めていくことを目的とし、従業員持株会を通したインセンティブ制度を導入しています。
- 従業員持株会加入率:82.1%[2024年3月期(単体)]
社員との相互理解を深める取り組み
多様性を活かした働きがいのある職場環境の実現を目指して、毎年エンゲージメント調査を実施しています。本調査ではエンゲージメントを「会社と社員の相互理解」と捉え、現状把握と課題発見を目的に、仕事内容や組織風土、制度待遇などさまざまな観点から満足度と期待度を測っています。
- エンゲージメントレーティング:C [2024年3月期(単体)]※
- 当社社員を対象とした、株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティング 目標とする「AAA」は全11段階中、最上位のレーティング
- 強み
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- 上司によるオープンでフランクな姿勢
- 部下の意見への傾聴姿勢
- 財務状態の健全性
- 弱み
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- 適切な採用・配置
- 全社的な連帯感
改善に向けた取り組み
- 本部別改善施策報告会
- 各本部の責任者が捉える組織課題や課題解決のための施策を共有し、会社全体として取り組むべき課題・施策を明確化しています。
- 部長・課長向けセミナー
- 各部門の状況に適した改善施策を策定するポイントや、エンゲージメントスコアが向上した組織の好事例を紹介し、効果的な施策策定と実行につなげています。
- 各部門改善施策 取り組み事例
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- 1on1ミーティングの実施
- 会社や本部方針の説明強化
- 業務推進状況や勉強会内容の共有
当社では、多様な人材がやりがいと誇りを持って仕事に向き合い、個々の能力を最大限に発揮しながら、継続的に成長し活躍できるよう、近年は特に、社員のエンゲージメント向上と次世代経営者の育成に積極的に取り組んでいます。
組織力を向上させるためには、社員一人ひとりのエンゲージメントが重要な要素と考え、全社員を対象としたエンゲージメント調査を定期的に実施しています。その結果を経営陣、各組織で共有した上で、結果の分析を行い、本部、部、課の各レベルで課題に対する改善施策を検討し推進しています。
また、次世代を担う経営人材の育成についても重要な経営課題の一つとして捉えており、幹部候補社員に対する教育プログラムとして、「TS経営塾」を開講しています。このプログラムは、経営者としての「経営スキル」と「経営者マインド」を育てることを目的としています。
人の力の最大化と組織パフォーマンスの向上をもって持続的な企業成長につなげるべく、今後もスピード感を持って人材育成やより良い組織づくりに取り組んでいきます。