2024年12月20日
活躍する社員
発想の殻を破るプロジェクトから誕生した
「Zジェネレーションキャビン」
これまでにない斬新な機能を搭載した車室内空間の意図とは?

テイ・エス テックが次世代自動車を見据えた新たな車室内空間を提案する
「次世代車室内空間発表会2024」にて発表した、若い世代の価値観に寄り添いよろこびあふれ、
自分らしくいられる空間「Zジェネレーションキャビン」。
入社3年目の開発リーダーが手がけた乗り込む前からワクワクさせるユニークさを感じさせる開発品がどのように生まれたのかを伺いました。
前川「Zジェネレーションキャビン」は、文字通りZ世代(1990年代後半から2010年頃に生まれの世代)の価値観を反映した車内空間です。これまでの車のインテリアとは全く異なり、乗り込む前からワクワクできるようなデザインが特徴です。私たちが目指したのは、ただの移動手段としての車ではなく、車内空間が心地良くて楽しい空間になることでした。
Z世代は、コロナ渦に学生時代を過ごしていたり、SNSネイティブという背景もありリアルに友達とふれあう機会が少なく、他人との比較で自分に自信を持ちづらいという特徴があります。そんなZ世代の悩みを解決できるような機能を盛り込みました
その機能として、「フレンドシップモード」と「ウーム*モード」の大きく2つがあります。さらに、スマホに搭載された、AIキャラクターが日常生活から持ち主に寄り添いながら、移動時間は、車にスマホを差し込むと、AIキャラクターが車と一体化し、それぞれのモードをサポートしてくれます。
*子宮を意味する
前川まず、「フレンドシップモード」は、まさにみんなで楽しむことにフォーカスした機能です。例えば、前後の席で空間を遮るものなるべくなくし、前席の人が後ろを振り向きやすいシート形状とすることで、全員が自然に顔を合わせてコミュニケーションを取れる空間を作っています。車室内中央には、テーブル型のディスプレイを配置し、皆で一緒に楽しめるように工夫しています。このディスプレイで、AIキャラクターがおすすめしてくれる行き先をみんなでワイワイ話し合いながら決めたり、車内でかける音楽を一緒に選んだりと、自然と一体感が生まれ、移動時間をより楽しめると思います。また、手動運転中でも後部座席の人の顔がバックミラーに映し出され、表情を見ながら会話ができるようにしました。
前川一方、「ウームモード」は、個人的な時間を重視した機能です。このモードでは、普段はドアに格納されている抱っこクッションを取り出し、足をフットレストに乗せるとリラックスすることで、まるで胎児のような体勢へとシートがアレンジされます。抱っこクッションがほんのりと温まりながら呼吸をするように膨らみます。シート自体も、エアセルが作動し、後ろからそっと抱きしめるようにシート形状が変化し、頭上からキャノピーが覆いかぶさるように出てきて、心地よい香りとともに、AIキャラクターが優しく励ましてくれます。まるで母親に包まれているかのように、五感で安心感を提供するモードです。
リラックスした落ち着いた状態で、内面の自分に向き合う時間を大切にしてもらいたいと考えています。
前川開発のきっかけとなったのは、次世代車を見据えた車室内の開発を行っている中で、どうしてもこれまでの自動車の発想の枠に囚われているのではないかと、社内に課題感があり、そこで、自分たちの発想の殻をやぶる製品開発プロジェクトが始まったのがきっかけです。複数のアイデアを融合させたのが、このZ世代が欲しいと思う車室内空間を開発する「Zジェネレーションキャビン」でした。
私たちZ世代は、学生時代をコロナ禍で過ごしており、友だち同士がリアルで遊ぶ機会が少なくコミュニケーションが制限された世代だと思います。そんな世代の方に喜んでもらええる空間を届けたいという想いから、まずは、Z世代の価値観を理解することから始まりました。Z世代は、社会で見せる“表の自分”と、誰にも見せない“内面の自分”という二つの顔を大切にしています。彼らはどちらも大事にしていて、そのバランスがとても重要だと感じています。このプロジェクトの初期段階で、私たちはその二面性をどうしたら車内空間に反映できるかを議論しました。例えば、社会に適応する表の自分を大切にするためには、「フレンドシップモード」のような共感し合える空間が必要だし、内面の自分を大切にするためには、「ウームモード」のように心地よい場所で安心できる時間が重要だと考えました。実際、若い世代は自分の感情や状態に合わせて空間を変化させたいと思っているんです。そのニーズに応えるため、私たちは両方のモードを実現させました。
前川入社3年目で大役を任されたことで、不安がとても大きかったです。しかし、開発を進めて行くものの、右も左も分からない自分を先輩社員の開発メンバーが支えてくれ、とても感謝しています。また、アイデアが出た当初は「こんなに新しいことをして本当に実現できるのか?」という不安がありました。開発メンバーはもちろん、社内のZ 世代社員に試作品を体験してもらいながら少しずつカタチにしていきました。時に厳しい意見ももらいましたが、コンセプトには共感をしてもらえたので、意見を参考にしつつ改善を繰り返していきました。
次世代車室内空間発表会では、自動車メーカー各社の皆さまを招待して、開発品をご体験いただきました。似たようなアイデアは社内で出たことはあったが、体験できるカタチに具現化までできている点を評価いただきました。提供したい価値を具現化することで、よりお客さまに伝えられる価値があるのだと感じました。
開発を進めて行く中で、アイデアや開発進捗の役員報告がありましたが、自分たちの価値観で評価すべきではないので自由にやりなさいと言ってもらい、開発を進められました。当社の若手に挑戦させてくれる風土があったからこそだと思います。