製品情報

“走り”を愛するドライバーと共鳴するスポーツシート Honda CIVIC TYPE R 2017年7月発売

世界中に多くのファンを持つHondaのグローバルカー「CIVIC」シリーズ。
なかでも、スポーツモデルの最上位グレードとして名高い「TYPE R」がフルモデルチェンジされました。
サーキットから街中まで幅広いシーンで、あらゆるドライバーが走りを楽しめるクルマにふさわしいシートとは?
開発に臨んだプロジェクトメンバーの方々にお話を伺いました。

profile

機種LPL室
LPL(ラージ プロジェクト リーダー)

佐山 直人

1987年入社。四輪車向けシートの設計部門に配属後、2001年よりアメリカ駐在。帰国後はLPLとして担当機種の開発から立上げまでをとりまとめる。

設計部

井上 和也

2014年入社。設計部門に配属後、シートの骨格となるフレームの設計業務に携わる。
今回のプロジェクトでは設計を担当。

開発試験部

阿部 龍平

2013年入社。開発試験部門に配属後、量産シートの安全試験を行う業務に携わる。今回のプロジェクトでは試験を担当。

プロジェクトの背景

佐山:
「CIVICである以前に理想のFFスポーツカーである」
このフレーズを起点にCIVIC TYPE R(以下、TYPE R)の開発はスタートしました。CIVICシリーズは、グローバルに販売され、人気も高い機種だからこそ、世界中のファンを裏切らないよう乗り心地の良さなどの快適性の追求は欠かせません。一方で、歴代TYPE Rに流れるレーシングスピリットにどこまでも忠実であるために、究極のスポーツカーとしての存在感も確立しなければなりません。開発は日本、生産はイギリスであり、TS TECH UK LTD.(以下、TSUK)の生産部門とともに二人三脚でプロジェクトは進みました。

近所のコンビニにも行くし、サーキットも走れる。

井上:
改めて、旧型TYPE Rと新型TYPE Rを比べると、シートの見た目はほぼ変わらないのですが、その性能は全然違います。新型は、よりホールド性に磨きをかけ、面で体を支える設計になってます。
阿部:
TYPE Rは、日常の走行もできるし、サーキット走行もできるというシートコンセプトが大前提にあったので、TYPE R特有のホールド性だけに特化せず、快適性も今まで以上に兼ね備えた仕上がりを目指しました。率直に言えば、TYPE Rはスポーツカーと普通車の“良いとこ取り”をしたものなんです。でも、良いとこ取りをすると、中途半端になったりすることが多いんですが、今回の新型はホールド性はもちろん、快適性も抜群。両立したことが凄いんです。

ドライバーの操縦姿勢をしっかり保持

高速旋回や加速・制動時など、体が振られるときでも、操縦姿勢をしっかりと保持。薄型で高密度のクッションにより、低い運転姿勢を実現しつつ、底づきを低減し、快適な座り心地を実現。

阿部:
新型TYPE Rでは、コーナリングでもしっかり体をぶらさずサポートする安定感、ドライバーの操縦姿勢を保持するホールド性を有したシートでありながら、疲れにくく、かつ、ドライバーが気持ちよく運転し続けられることが重視されました。そこで私たちは、『一体感』、『ねじれ感』、『動的体圧』の3つの指標で、走行中のドライバーの体が重力(G)からどのような影響を受けるのかを分析しました。

6軸加振機の上でセンサーをつけた被験者をモーションキャプチャで解析

佐山:
3つの指標を測るために6軸加振機という設備を用いて検証を行いました。6軸加振機は、実際の走行状態を再現できる設備で、走行中に体が受けるGや、その時のシートへの影響を再現できるものです。そこでは、モーションキャプチャ※を利用し、走行中、遠心力で体が振られたときどのような動きをするのかを分析しました。

※現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術

例えば、肩が大きく振られると、そこにGが集中してかかっていることが分かります。それで、動的性(体が横からのGに耐えられるか)を調べることができるんです。3つの指標を用いて試行錯誤することで、ホールド性も快適性も満たしたシートを造り上げることができました。

スポーツモデルにふさわしい高品質の実現に向けて

徹底的に「走り」の性能を磨きあげたスポーツモデルにふさわしい、力強く複雑な面形状で構成されたデザインと、その魅力を際立たせる高品質な仕立て。

井上:
TYPE R独特の美しい曲線美や赤を効かせた演出、エネルギッシュ感を具現化し、量産までもっていくには、設計部門と生産部門の連携が不可欠でした。
シートを造っているTSUKは、CIVICの多様な仕様のシートフレーム(骨格)生産を担っている拠点です。

ひとえにシートフレームといっても、その形状は多種多様。基本、フレームの形状は一緒でも、付ける部品が違うため、治具の構造も考えながらフレームの部品設計が必要となり大変でした。しかも、立て続けに生産を開始する他の新機種もあったりして、忙しいところにTYPE Rの生産が加わったわけですから、現地のスタッフには本当に頭が上がりません。

生産ライン

新型TYPE R立ち上げで活躍した現地スタッフたち

井上:
治具は通常、生産機種が変わるごとに取り替えます。しかし、一つのラインで生産する機種が多岐にわたればわたるほど、取り替えによるタイムロスや人件費もかかります。 また、TSUKではシートフレームの溶接を自動一括溶接※で行っており、大幅な治具の改良を行わなくても、効率的な生産ができるように工夫する必要が出てきました。そこで、現在の生産ラインを邪魔することなく、既存設備の中でTYPE Rが生産ができるよう他のフレームと共有できる治具を造ることにしました。TSUKの生産部門が日本の設計部門に足しげく通い、彼らと議論を交わしながら私たち(設計部門)は治具検討を進めていきました。時には、意見がぶつかりあうこともありましたが、互いに納得できるまで深く話し合い、なんとかカタチになりました。

※ 従来複数工程で行っていた、シートフレームの溶接を一度に行う工法

プロジェクトを終えて開発と生産を一貫して行うテイ・エス テックだからこそ
成しえたプロジェクト

佐山:
工場へ生産を移管したときには立ち上げに苦労したけれど、生産部門の方だけでなくサプライヤーにも迅速に対応していただき、何とか納期に間に合いました。「こんなの無理だ。日本でもできないよ。立ち上げを遅らせよう」という話も出ましたが、今回は本当に生産部門の皆さんががんばってくれました!日程は厳しかったけど、生産部門の皆さんのおかげで何とか無事に立ち上げることができました。日本の開発部門とTSUKの生産部門が一丸とならなければなし得なかったプロジェクトでした。今でも現地工場の皆さんに対しては、感謝の気持ちでいっぱいです。

阿部:
東京モーターショーでは、多くの方が自分の手がけたシートに注目してくださいました。その場で自分も展示されているTYPE Rのシートに座ったとき、素直に嬉しかったです。
また、Hondaブースで完成車に載っているシートを見たときも、改めて「僕は自動車のシートメーカーで働いてるんだ」って実感しました。車としての完成品を見るとやっぱり感動しますよね。
井上:
入社3年目で、初めて量産に携わった機種であり、思い入れは強いです。世界中のドライバーの心を刺激する存在となってほしいですね。
そんな機種の量産に携われて光栄でした。

初の自社開発ECUを搭載 さらなる快適性を実現 Honda CR-V

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